北朝鮮は自力更生によって経済建設に取り組むことを打ち出している。
今後、どのような戦略をとってくると考えられるだろうか。
朝鮮中央通信によると、2019年4月10日の党中央委員会総会で、
金委員長は「自力更生」で経済建設に取り組み、国際社会による制裁に対抗する方針を表明した。
翌11日の最高人民会議で、米国に対する言及があったとは報じられていない。
米国との対決を打ち出すようになれば、米朝関係は2017年末のような
一触即発の状態に戻りかねなかった。
だが今のところ、そんな最悪な事態が回避されているのは幸いだ。
米国も北朝鮮に性急な行動を慎むように諭していたため、
米朝関係はとりあえず小休止状態になっている。
もっとも、この先、米朝関係がどうなるかは不透明だ。
米国の戦略が単純で、北朝鮮が非核化で折れるまで経済制裁を継続し、
必要に応じて強化するだけだ。
一方の北朝鮮も基本的には持久戦だ。
「自力更生」は国際社会からの経済制裁を長期間甘受し、それに耐えろと国民を鼓舞するもの。
第二次世界大戦下の日本の「ほしがりません、勝つまでは」と言うスローガンを彷彿させる。
果たして北朝鮮はどこまで経済制裁を我慢できるのか。
金委員長にとって一方的な我慢は米国への屈服を意味するため、
国内の不満のはけ口として適度な「ガス抜き」が必要となる。
例えば人工衛星と称した弾道ミサイルの発射がそれだ。
実際、北西部東倉里のミサイル発射場でその準備とみられる動きもあり。
原子力潜水艦を建造すると言う噂もある。
これは即戦力と言うより、将来を見据えたもので対米交渉カードと言う意味合いが強い。
国連の経済制裁が効かないサイバー空間でも外貨獲得を狙ってくるだろう。
他方、関係国の力を利用して米国に圧力をかけると言う方法もある。
例えば、4月11日の米韓首脳会談がそれだ。
今や北朝鮮の代理人と化している韓国の文大統領は、
トランプ大統領に膠着している米朝首脳会談の打開を打診した。
トランプ大統領は文大統領に対し、「米朝首脳会談は急がず、南北協力は時期尚早」と釘を刺した。
こうなると北朝鮮として中国やロシアに頼るしかないが、直接的に助けを求めるのはメンツが立たない。
その場合、都合が良いのは国連だ。
北朝鮮が国連の制裁逃れなどを密かに行うのは非難されるべき行動だが、
北朝鮮にとっては自国優先の立場から合理的だ。
もし制裁逃れが発覚しても、よほどの証拠がない限り、国連での議論が誘発され、
結果として中国とロシアのサポートを得られる可能性がある。
いずれにしても、米朝首脳会談は長期戦になる。
北朝鮮の制裁のがれの動きは日本海で展開されることが多いので、日本も相当な注意が必要だ。
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