本書執筆中も毎日、日韓関係に関する報道がなされている。
できるだけ最新の情報をと思い加筆した部分も多々あるが、
最後に8月になってからの新たな動きも少し紹介したい。
韓国は米国に泣き付いて日本との仲介を頼むしかない状況だが、
米国は「徴用工問題は1965年の日韓請求権協定によって解決済み」と言う日本の立場を支持している。
おそらく韓国はこの程度の情報さえ入手できていなかったのだろう。
韓国は米国が肩入れしてくれないと見るや、今度は北朝鮮頼みに舵を切った。
今年8月5日、大統領府での会議の場で、文大統領は「南北間の経済協力で平和経済が実現すれば、
われわれは一気に日本に追いつくことができる」と発言。
だが、その実現性やロジックが乏しいと言わざるを得ない。
この文大統領の発言は韓国国内でも批判にさらされている。
同6日付の朝鮮日報は社説で、北朝鮮の「技術も資源も市場もない世界最悪の貧困国家」
とし、「低賃金労働力の利用以外に何ができるのか。
そんな国と経済協力して世界最高の技術大国(日本)に一気に追いつくとはどんな魔法か」
と批判した。
大統領の発言が非現実的である事は、すでに歴史が証明している。
1989年、ベルリンの壁が崩壊して東西ドイツが統一されたのは、
旧東ドイツの支援のために、旧西独は長年負担にあえぎ低成長を余儀なくされた。
旧東ドイツは社会主義国の中では優等生的存在であり、今の北朝鮮よりも
はるかに経済状況が良かったにもかかわらずだ。
この不況を救ったのは、1999年に運用開始されたEUの共通通貨ユーロだった。
ユーロの導入によってドイツは、ユーロ圏域内に対しては相対的に
有利な為替レートになり、域内では為替変動がないためドイツ経済の競争力が
他のヨーロッパ諸国に対して相対的に強化されることになった。
しかし、今のアジア圏に目を転じると、共通通貨の話は皆無である。
東西ドイツが統合した時の恵まれた環境と、今の朝鮮半島めぐる環境とはあまりに違いすぎる。
そもそも、現在、北朝鮮は国連制裁中である。
その北朝鮮との協力で乗り越えるとは悪いジョークにしか思えないし、
この文大統領の発言は、韓国が再輸出管理を甘くし北朝鮮への横流しを
暗喩しているととられかねないだろう。
一説によれば、日本が懸念している韓国側の輸出管理不備不備と言うのも、
北朝鮮への横流しに他ならないのだ。
韓国、文政権は一体どこに向かおうとしているのか、
筆者には甚だ理解できない。
朝鮮半島の歴史や政治を研究してきた筑波大学大学院教授の古田博司が、
韓国に対しては「助けない、教えない、関わらない」と言う「悲観三原則」を提唱したが、全くその通りだ。
今の韓国は、国交断絶までせずに人、モノ、カネで対応しながら、
とりあえず放置しておくしかない。
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