【日中もし戦わば】「日本版A2/AIネットワーク」を構築せよ

では、「アジア太平洋・インド地域防衛戦略」において、日本は何をなすべきなのか?

求められているのは、日本版A2/AD(接近阻止・領域拒否)ネットワークの構築です。

 中国はアメリカ軍の接近を阻止し、自国の領域においてアメリカ軍が

自由に行動することを防ぐために「A2/AD」戦略を用いていますが、

それを逆に日本が中国に対して行おうと言うのです。

 中国が軍事行動を起こした際、アメリカの海軍・海兵隊が第二列島線まで退き

長距離作戦に移行する、日本は中国の侵攻を、ほぼ独力で阻止せざるをえない事態に陥ります。

 つまり、第一列島線上で繰り広げられる攻防は、陸海空自衛隊や国民が総力を挙げた

国土防衛であることを認識しておかなければなりません。

 日本版A2/ADネットワークの構成は、次の4つに大別できます。

 ちなみに核抑止力の維持、宇宙・サイバー戦における優位性の確保、経済封鎖等は、

アメリカに頼らなければならない分野です。

 ①阻止作戦(拒否し防御する)国土防衛線で大事なのは、南西諸島の主要な島々を

寸土も中国に奪われてはいけないと言うことです。

島嶼に入り配備した対艦ミサイルや防空ミサイル、地上発射型対潜ミサイルと

海空自衛隊の対艦ミサイルとを連接させ、島嶼の防衛と列島線の封鎖網を構築します。

 こうして中国の島嶼への侵攻を阻止するとともに、中国海空軍の西太平洋への進出を阻止します。

 合わせて、北太平洋からの中国艦隊の迂回行動を阻止するため、

対馬や津軽海峡、宗谷海峡にも、対艦・対空・対潜の壁を構築する必要があります。

 防勢作戦は海空作戦が不利な状況で展開されると考えられるので、

島嶼の拠点を地下化して抗堪力を増すだけでなく、一定の食料、弾薬・燃料などを

事前集積するとともに、人員・装備は追加の補給部品など途絶えることなく

輸送するための高速・大量の海上輸送力を保持することが必要です。

②抗堪力・継戦力の発揮・維持(生き残り、戦い続ける)喫緊の課題は、

中国のミサイルによる飽和攻撃にどう対処するかです。

アメリカ軍は、既存のMD (弾道ミサイル防衛)システムでは中国やアメリカの

弾道ミサイル攻撃に対処するのが難しいと認識しています。

そのため、既存のMDを維持しつつレーザー兵器はマイクロウェーブ(電磁波)兵器、

レールガンなどを開発し5年から10年の間に装備化して部隊に配備しようとしています。

 エアシーバトル構想で「敵のミサイルを味方に命中させない」と言及しているのは、

新たなMDに移行することを示しています。

 この具体的な例として、シリアに展開したロシア軍の防御システムが挙げられます。

 軍事作戦において、敵のミサイル攻撃等を電子的に妨害し、その能力を発揮させないために、

2 ~3両の特殊車両お配置して半径約300キロメートルの

「電子戦ドーム(電子戦シールド)」を構築している模様です。

この「電子戦ドーム」が作る防御網の中で行動している限りは、

安全が保たれると言うわけです。

 対ミサイル防御シールドのイメージは(32)示します。

一方、日本にも優れた電子戦の技術・能力があることから、

早急に同種の開発を進め装備化することが肝要です。

 これに、既に開発されているイージス・アショアは(イージス艦のMDシステムの

地上配置型)などと前記のマイクロウェーブ弾(強力な電磁波による敵の電子機器を

破壊又は誤作動を引き起こす)やレールガン、レーザー兵器などの最新装備を

組み合わせれば、強力な日本独自のMD網を構築することができ、

電子戦・サイバー戦でも優位に立つことが可能になります。

 日本には、これらの装備を実現できる、世界に誇る強力な高出力電源の

技術があることが大きな強みとなっています。

 一方で、日本はこのような技術力や国の宝として保護する国家施策が必要となります。

同盟国アメリカと言えども、日本にバーゲニング・パワーとしての高度な防衛装備

・技術がなければ、一方的に米国の防衛装備・技術を移転してくれるわけでは無いのです。

 日米共同開発を進めるためには、自らの技術を磨かなければなりません。

 将来期待される電子戦などの日本防護のイメージは(33)の通りです。

 先にも述べましたが、アメリカ軍が日本に残留して戦闘を継続するには、

日本の民間飛行場に必要な上弾薬や燃料などを事前集積し、

いざというときに軍用としてつかえるかどうかにかかっています。

 日本は自国防衛の責任を自覚し、早急に民間飛行場を日米が共同で

使用できるようにしなければなりません。

また海空自衛隊の航空基地や港湾の防空や対ゲリラ・コマンド攻撃対処

(以下、対ゲリコマ対処)は極めて不十分です。

急いで防御体制を充実させる必要があります。

日本が独自に開発した短距離・中距離対空ミサイルは中国の巡航ミサイルを

撃破する能力があるので、これらを陸海空自衛隊で多数装備することが望まれます。

陸上自衛隊の部隊は、有事の際、ほぼ半分の兵力が南西諸島に展開されるでしょう。

すると日本本土の対ゲリコマ戦力が不足し、都市部でのテロの被害に遭う

可能性が高まります。

日本のゲリコマやテロの対処体制は法整備も含め不十分であり、

それを補完するためには陸上自衛隊の大幅増員は避けて通れないところです。

国民を核攻撃から護ためには大規模なシェルターの建設が必要となるでしょう。

これらのシェルターの建設をマイナスイメージで捉えてはいけません。

防災にも有効です。

さらに、日本の経済浮揚や新たな国土開発として、

その発展の土俵を地下にも広げると言うパイオニア精神が必要でしょう。

地下に新たに緑豊かな商業施設や娯楽宿泊施設などを作り、普段から活用する工夫が必要です。

積極的な国土強靭化計画として大きなプロジェクトを組む事は、

新たな発表をわが国にもたらすことになるでしょう。

③アメリカ軍の防勢作戦間の攻勢への参加(限定された攻撃力の発揮)

中国の戦力発揮を支えるC4ISRを無効化するためには、陸海空自衛隊が統一された

構想の下に電子線・サイバー戦能力を強化し、地上配備型の装備を骨幹として

国土全域を「電子戦バリアー」で覆うことが必要です。

そして、陸海空自衛隊の統合運用の下、盲目化作戦

における日米の連携も進化させなければなりません。

また水中の支配は、潜水艦に加え水中の無人機、潜水艦探査システム、対潜哨戒機及び

これらをつなぐネットワーク等の総合的な運用によって、

初めて圧倒的な力を持っており、オーストラリやインド、ベトナム等と

連携することで、東シナ海・南シナ海や西太平洋において

絶対的な水中優勢を確保することができます。

④C4ISRネットワークの構築(クロス・ドメインの組織化、一体化)C4ISRネットワークの

一元的な構築は、体中作戦を実行する上で大前提となる要素です。

通信のパイプの太さや強さを見極め、予備手段を含めて残存性が高いシステムを

構築する必要があります。

特に島嶼が連なる南西諸島では、地上・空中・海底のネットワークを構築して

アメリカ軍と一体化しなければなりません。

そして情報や通信のバックアップとして、アメリカ軍と同じように

小型即応型衛星や無人機などを装備化する必要があります。

また地上用として、航空自衛隊が保有する移動式の多重無線通信装置で、

残存性の高いシステムを構築しなければなりません。 

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