【日中もし戦わば】日本と中国のA2/ADネットワークの違いはここにある

以上が日本版A2/ADネットワークの概要ですが、中国とは地政学的条件が異なるので、

全く同じ戦略を取るわけではありません。

例えば、中国のA2/AD戦略は西太平洋がA2 (接近阻止)、東シナ海及び南シナ海が

AD(領域拒否)ですが、日本の南西諸島の防衛は国土防衛であり、

西太平洋は日米の生命線である海上交通路があります。

そしてアメリカ軍が進出するエリアでもあるので、

完全な支配ゾーン(領域支配)でなければなりません。

そのため列島線沿いで敵を阻止するだけでなく、西太平洋海域は対艦ミサイルや

日米の対戦哨戒機・潜水艦等により日米の支配ゾーンとしなければなりません。

また列島線の東シナ海側も、国土を守るためにはA2 (接近阻止)ではなく、

AD (領域拒否)なければなりません。

日本はそれを可能とする手段を保有しており、

日中中間線付近までは拒否ゾーンとすることが可能です。

 水中には明確な支配線がありませんが、日米の水中作戦の動向によって

前後に動くことになります。

日本版A2/ADネットワークではA2の要素が少ないので、

実態としてはむしろAD/AD0 (領域拒否/領域支配)といえます。

日本は西太平洋と言う「領域」をしっかり支配することで、

西太平洋に向かう中国のアクセスを拒否できます。

さらに、C4ISRネットワークを構築してアメリカとクロス・ドメインの関係を

構築することで、防衛体制はさらに盤石なものになるはずです。

日本版A2/ADネットワークのイメージは(34)の通りです。

日本版A2/ADネットワークでは、例えば尖閣諸島で有事が発生した際にも、

対艦・対空・対潜水艦の「火力の壁」を南西諸島に構築することが必要です。

その前提がなければ、日米の海空作戦は有利に展開できません。

仮に尖閣諸島が中国に占領されたとすれば、南シナ海のウッディー島

(パラセル諸島で最大の島、中国名で永輿島)のように防空・対艦ミサイルが配置され、

南西諸島の半分が射程内に入ります。

そのため、たとえ小さな島であっても全力で対処するのが、

日本と言う国を守るために必要なことなのです。

「牛刀を持って鶏頭を断つ」と言う考え方が、軍事力の運用にあたっては前提となります。 

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