2つのタイプにはそれぞれメリットとデメリットがあります。
まず、民間銀行仲介型です。
これには、一度銀行の信用不安が起こり、一気に銀行経営や金融システムを
不安定にしてしまうリスクがあると言うデメリットがあります。
中央銀行デジタル通貨を使って多くの決済ができるようになれば、
預金者は決済目的で一定額のデジタル通貨を専用口座に置いておき、
資産運用(貯蓄)目的で一定額の銀行預金を持つと言うふうに使い分けることになるでしょう。
その場合、口座を持つ銀行の信用不安が高まり、
預金者は銀行預金を安全なデジタル通貨専用口座移動しようと考えるはずです。
銀行預金は銀行にとっての責務で、銀行が破綻すれば預金者には
全ては戻ってこない可能性がありますが、中銀デジタル通貨は中央銀行の責務ですから、
そのような事は起こりません。
デジタル通貨口座への資金逃避は要するに銀行の取り付け騒ぎと同じ事ですが、
実際の店舗での取り付け騒ぎのように預金者が押し寄せて預金を取り崩し、
大量の現金を持ち帰るようなことにはなりません。
銀行預金からデジタル通貨専用口座への資金移動は簡単にできるため、
取り付けは急速に進むと想像できます。
そこでもし、銀行が持っている中央銀行当座預金が充分でない場合には、
顧客が求めるデジタル通貨を中央銀行から調達することができなくなります。
銀行は支払いができなければ「流動性危機に陥った」と言う格好で破綻します。
その時中央銀行は、破綻を回避するためその銀行へ緊急の資金供給をするかもしれません。
それでも経営危機に陥る銀行が一行でも現れると、
銀行システム全体の信頼性が低下し、経済社会に大きな混乱が生じるでしょう。
預金者には、自分が預金している銀行が経営不安に陥ったら、
他の安全な銀行に預金を移すと言う手もあるものの、
そうした場合には銀行全体の不信感を強め、デジタル通貨への
資金逃避の方を選ぶのではないでしょうか。
民間銀行仲介型は、預金金利をめぐる悩ましい問題も抱えています。
中央銀行が中銀デジタル通貨に金利をつける場合、
中銀デジタル通貨の金利が銀行が決める預金金利より高くなると、
資金が預金から中銀デジタル通貨に移り、やはり銀行経営を不安定にしてしまう
可能性があります。
中銀デジタル通貨の金利と預金金利をいかに適切に設定するかは、
民間銀行仲介型の重要な課題なのです。
民間銀行仲介方にはメリットもあります。
このやり方は、銀行制度との併存が前提になって設計されていると考えられます。
そのため、後にも述べますが、銀行の信用創造機能が維持されます。
それは企業や個人が現在の経済活動を続ける上ではスムーズな形といえます。
逆に直接発行型では銀行の信用創造機能が失われる可能性が高く、
そうした経済システムはどのようにどのようなものになるか、見通しがつきにくい面があります。
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