金融緩和は一見すると企業側が有利になるため、短絡的に労働者のためにならないと
勘違いする人も多い。
金利の引き下げはモノへの設備投資を増やすとともに人への投資である雇用を
増やすことになるのを理解していないからだ。
そうした勘違いをする人は、金融引き締めで金利を上げることが経済成長に良い。
などと言う発言をしてしまう。
立憲民主党の枝野幸男代表のかつての発言が、その典型だ。
同党は2019年7月21日投開票の参院選に向けた公約で、
5年以内に最低賃金1300円への引き上げ、
年金の最低保障機能強化、消費税10%への引き上げ凍結と金融所得課税や
法人税等の見直し、税の累進性(の高所得者の税負担を大きくすること)強化、
自然電力100%を目指すことなどを掲げた。
金利の引き下げは雇用を増やすと言うメカニズムがわかっていないと
「金融引き締めで金利を上げることが経済成長にいい」などと言いがちだ。
筆者はかつて枝野氏枝野代表とテレビ番組で討論したが、その時に典型的な勘違い発言をしていた。
その後も枝野代表が意見を変えたようには思えない。
そうした勘違いの末、政権としてやりやすいのが最低賃金の引き上げとなったのではないか。
かつて民主党政権もこれで失敗した。
2010年の最低賃金は引き上げるべきではなかったが、左派政権としての気負いと
経済政策音痴から、前年比で2.4%も引き上げてしまったのだ。
おおざっぱな計数では、最低賃金の上昇率は「5.5」から前年までの失業率を
差し引いた数値程度が良い結果となる。
前年の失業率が5.1%だったので、無理のない引き上げ率はせいぜい0.4%程度だった。
実態に見合わない賃金の引き上げは、結果として雇用の悪化につながる。
民主党政権下で失業率は形式的に低下したが、「働く意欲のある人」が減って
結果として失業率が下がっただけだから、とても褒められたものではない。
民主党政権で就業者数は30万人ほど減少したが、第二次安倍政権では300万人以上も増加している。
民主党はもったいないことをした。
大学卒業者の卒業年の就職率について、民主党政権の2011年は91%だったが、安倍政権の2018年は98%だ。
社会人になっていない学生は雇用の既得権もないので、政策による雇用創出の巧拙の影響がもろに出る。
その意味では、韓国の文政権も左派の経済政策音痴丸出しだ。
2018年1月、最低賃金を16.4%も引き上げた。
その結果、3.6%だった失業率が 1年後には4.4%まで上昇し、2019年5月には4.0%と高止まりしてしまった。
立憲民主党が政権を取る可能性は少ないからあまり心配する事はないが、
5年以内に最低賃金を1300円まで引き上げたら日本経済は大変なことになる。
2018年の最低賃金は874円なので、年率11%の上昇が必要だ。
まるで文政権並みのめちゃくちゃさで、経済政策として論評に値しない。
文政権は勘違いの末、政策としてやりやすい最低賃金の引き上げに走ってしまう。
民主党政権も文政権もこれで失敗している。
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