【変見自在】蒋介石の真実

偏見自在10

ドンダン峠

蒋介石は「徳を以って怨みに報いる」と言って日本人は皆無事に国に帰れた、

とてもいい人だったと語られてきた。でも事実はどうか。

北洋艦隊の丁汝昌【※1】は「日本と支那が手を携え欧鯨米虎に当たらん」と言った。

蒋介石もその気で日本士官学校に学んだが、気がついた時のはずの米国に買収されて反日に転んでいた。

白人国家に楯突いても勝ち目はないし米国につけばたくさん金がもらえると読んだからだ。

後に支那軍参謀になるウェデマイヤーも蒋介石は金に汚かったと嘆いている。

で、米国の傭兵となった支那軍はまず通州の日本人を惨殺し、次に7万の兵力で上海の日本租界を攻めた。

世に言う第二次上海事変だ。

日本軍守備隊はわずか4000。

ただ支那軍は頭数こそあっても所詮は支那人だ。

日本側は持ちこたえ、援軍が来るや逆に支那軍を潰走させ、南京を落とし、

さらに揚子江を遡行して逃げる敵を追って武漢も攻略した。

蒋介石は恐れをなして遠く重慶に逃げ込んだ。

しかし事態はここで膠着する。

米国は裏口、つまり仏印側から金と武器と軍事顧問を送り込んで蒋介石をサポートし続けた。

蒋は儲かり続けて終戦を迎える。

日本のおかげで「得させてもらったからその恩に報いる(以徳報恩)」が正しいのではないか。

それはともかく日本は仏印政府に援蒋ルートを切れと要請、それを確認するための

軍事監視団を入れさせろと頼んだ。

ちょうどその時期、仏本国はヒトラーの軍門に下り傀儡のビシー政権が誕生していた。

日本からの要請にビシー政権は当惑する。

植民地と言うのは富の源泉で、フランスはこの民に人頭税をかけ、阿片を売り、

良質の石炭を掘り出していた。

そのお返しは反抗する民を入れる26の新築刑務所とギロチン台だった。

そんなところに日本軍が入るなどとんでもないことだった。

船橋洋一の「ジャーナリズム再興」風に言えば「他人の財布に手を突っ込む」行為だ。

おまけに黄色い日本人をそこらにのさばらせばベトナム人などが妙な独立心を起こして騒ぎ出す。

ビシー政権は白人の植民地支配を危うくする進駐を阻止するよう英国に亡命したドゴールに頼み込む。

ドゴールはチャーチルに相談するが、日本は独と親しい。

で、まだ中立の米国F・ルーズベルトに口利きを頼み、彼は特使ウィリアム・リーヒを

密かにヒトラー説得に送り出した。

目下、戦争中の白人国家同士が白人の富、植民地の温存のため右往左往する。

なんとも珍妙な光景だが妙案も浮かばないうちに松岡洋介が駐日仏大使C・アンリと話をつけてしまう。

昭和15年9月、第5師団が支那側から仏印国境を粛々と越えようとしたとき

仏印政府軍のドンダン要塞が砲撃を浴びせ、2機の仏戦闘機も攻撃してきた。

日本人ごときに入域させるかと要塞指揮者ヌーベが攻撃を下知したのだ。

仏人の失礼な対応を怒った師団は師団は正面から切り込み、ルーベ以下40人余の仏将兵を倒して要塞を落とした。

日本側死者は15人だった。

この戦いをベトナム人陳中立が見ていた。

神のごとく振る舞ってきた白人が彼らと同じ肌色の日本人に泣いて助命を乞う。

陳は仲間を語らい日本軍から鹵獲(ろかく)【※2】した兵器をもらい、独立戦争を宣言、ハノイのフツメンを攻撃した。

影響与えたのは若き日の新橋インドネシアラヤ【※3】の若き主人、中島慎三郎だった。

この蜂起は全員戦死で終わったが、ここからベトナム戦争に至る長い戦いが始まった。

ドンダンの戦いは植民地帝国主義崩壊の序章となった。

ドンダンは次に中越戦争の現場になる。

鄧小平の人民解放軍はここで粉微塵にされ、漢民族国家の連敗記録を更新した。

よくも悪くも歴史を更新してきたドンダン峠を今回は金正恩が越えた。

しかし口先だけの非核化はトランプに一蹴された。

ここを通れば歴史が動くとは限らない。

──────────注釈

【※1】丁汝昌

丁汝昌(てい じょしょう、1836年11月18日(道光16年10月10日) – 1895年2月12日(光緒21年1月18日)、

原名は先達)は清朝末期の軍人である。字は禹廷、号は次章。

初めは太平天国の乱に反乱側として参加したが清朝に帰順してからは李鴻章の下で働き、

後に北洋艦隊の提督になった。

日清戦争中に艦隊戦敗北の責任をとって自決。

(個人的感想:支那人にあるまじき潔い態度)

【※2】鹵獲(ろかく)

〔「鹵」はうばう,かすめる意〕

敵の軍用品・兵器などをぶんどること。「―兵器」

【※3】インドネシアラヤ

1957(昭和32)年にオープンしたインドネシア料理店。

2008年末に閉店。

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