「力による平和」を実現するために総合国力がどれほど重要かを真に理解するには、
総合国力の個々の要素である様々なハードパワー・ソフトパワーが
どのように相乗効果を生み出し、その結果、中国(北朝鮮、ロシア、イランなど)の
あからさまな攻撃を継続的に抑止できるようになるのかを
まず深く理解しておく必要がある。
それでは、一国の軍事力を構築するのに必要な相乗効果について考えてみよう。
軍事力の構築にはまず、強い経済に必要であると言う経済は、
実際に武器を製造するためのためだけでなく、そうした軍事費を賄うのに必要な
歳入を生み出すためにも必要である。
だが、経済が強くなるためには、高度な技術を持った労働力とたゆみない技術革新が
必要である。
また、質の高い労働力を生み出すためには、当然のことながら優れた教育制度が
必要となる。
同時に、迅速な技術革新には科学や数学や工学に特化した教育制度が不可欠だし、
さらに、研究開発のための設備投資を可能にする金融制度、
企業や技術革新を有する税制も必須である。
今日のグローバルな金融システムの中では、どの国の国内経済も、
外国市場に自由かつ迅速にアクセスできなければ反映することができない。
当然のことながら、、こうした自由貿易には貿易相手国との強力な同盟関係だけでなく、
世界通商路の自由な航行も必要となる。
これがまた海と空を通商のために開かれた空間にしておくための、
強力な軍事力の必要性へとつながっていく。
だが、相乗効果はこれで完結ではない。
こうした相乗効果を生み出すための国家的基礎として、
正常に機能する政治体制が必須である。
このような政治体制は、社会の安定をもたらすだけでなく賢明な公共選択
(社会や政治による意思決定)も生み出す。
賢明な公共選択によって、近代的道路や橋、航空管制や公共交通機関や上下水道など、
「公共財」やインフラが供給され、民間部門の成長が促進される。
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