①の「強化」戦略を具体的に説明すると、基地の燃料タンクや兵器庫を
地下深部に移動させ、航空機をサイロに格納し、膨大な量のコンクリートと鉄筋で
滑走路や建物や兵舎や不当を要塞化する、と言うことである。
さらに、迅速に滑走路を修理したり、ミサイル集中攻撃をを受けた際に
必然的に発生する瓦礫を除去したりすることができる専門的な装備を準備しておくことも
「強化」戦略に含まれる。
こうした平凡な試みの価値について、フリードマン教授はこう述べている。
滑走路に空いた穴を修復するための機械といった装備は非常に重要である。
これらは優先上位リストの上部には入っていないし、一般的に軍が購入したがるような
最新兵器でもない。
だが、戦争と言う状況下で基地や施設を使用可能な状態に保つためには
これらは必要不可欠である。
②の「分散・多様化」戦略について説明すると、これを実行するには
2通りの方法がある。
まず、すでにアメリカ軍の駐留を受け入れている国の中で基地を分散する方法。
このようなリスクの分散と多様化が日本でどのように機能するかを、
ヨシハラ教授が次のように説明している(日本は中国の脅威を強く感じているため、
基地の分散と言う考えに理解を示すものと予想される)。
基地や艦船といった高価資産を日本列島全体の再配置すれば、
中国にとってはターゲットを絞り絞り混むのは非常に困難になる。
たとえば、およそ1000キロにわたって伸びている琉球諸島には、
アメリカやその同盟国空軍および海軍が使用することのできる港湾施設や
飛行場が多数存在する。
琉球諸島の南西の島々まで軍を分散して配置することができれば、
中国にとってターゲットを絞り込むことは非常に困難になるだろう。
分散・多様化戦略を実践するための2番目の、そして中国側からも最も抵抗を受けると
思われる方法として、現時点では大規模なアメリカ軍の駐留を終了受け入れてない国々に
まで軍事施設を広げると言う選択肢もある。
アメリカン・エンタープライズ研究所のダン・ブルーメンタールは、
「中国側から見ればターゲットとすべき国と地域が突然増えることになるのだから
日本にある数カ所の基地や軍事施設だけをターゲットとして考えれば良い場合と比較して
抑止力が格段に高まるだろう」と述べている。
アメリカの防衛の傘に入ることに最も積極的なのは、資源や領海をめぐって
中国との紛争が急速に激化しているベトナムだと思われるが、
このような拡張型の「分散・多様化」は中国側の「ゆずれない線」を踏み越える危険がある。
ブルッキングス研究所のマイケル・オハンロンは次のように注意を促している。
アメリカが新たに建設する基地の数はデリケートな問題だが、特にデリケートなのは、
それがこれまでアメリカ軍基地がなかった国に建設される場合だ。
だから、例えばアジア地域全体にアメリカ軍を分散させる目的で基地を
5つベトナムに配置するとすれば、それは単なる分散戦略を超えた問題となる。
それは、アメリカの新たな同盟国が中国と国境を接することを意味する。
中国側は、封じ込められると言う恐怖を募らせるだろう。
したがって、極端な状況下にある場合以外は、これは得策ではない。
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