第3点が最も問題である。
中国は昔ながらのスパイと近代的サイバー戦を組み合わせ、
アメリカの最新兵器の設計図を盗み出しているのだ。
例えば前述の成都J-20について考えてみよう。
J-20がステルス技術を獲得したのは、1999年、アメリカの戦闘機F-117ナイトホークが
セルビア上空でソ連製のヴィンテージ物のミサイルSA-3に撃墜されたときのことである。
アメリカのステルス戦闘機が撃墜されたのはそれが初めてだった。
ペンタゴンはそれをまぐれあたりだとして片付けたが、
セルビアの田園地帯に飛散したその残骸は中国人スパイによって組織的にかき集められた。
セルビアの農民や一般市民の家を文字通り訪ね歩き、かなりの金額と引き換えに
F-117の残骸(中には小型車ほどの大きさのものもあった)を回収したのである。
集められた残骸が中国に送られて組み立てられ、こうしてステルス技術の多くが
中国の手に渡った。
もちろん、ステルス性能は第5世代戦闘機が持つ数多くの要素の1つに過ぎない。
それなら成都J-20の残りの技術はどうしたのかと言えば、
中国は、サイバースパイ史上最も包括的で効果的なハッカー行為によってそれを獲得したのだった。
2007年、中国のサイバー軍団はペンタゴンに不正アクセスして統合打撃戦闘機に関する
機密情報の多くを持ち去ったばかりでなく、F-35製造に協力していた
イギリス最大の防衛契約企業BA Eにも侵入し、そうとは知らないBAEが
第5世代戦闘機の設計や電気システムや性能に関する重大データを盗み出した。
新旧のスパイ技術を駆使して、中国はこれまで、研究、開発に何兆ドルもの
税金が注ぎ込まれている
アメリカの機密情報を盗み出してきた。
アメリカへのさらなる打撃として、中国はこのようなスパイ行為の成果を兵器製造に
利用している。
こうしたコピー兵器の中には、やがて本家本元を超える性能を獲得するものも
あるかもしれない。
最後に、アメリカの最新テクノロジーを盗み出す中国の行為は
今後エスカレートしていく可能性があることを述べておく必要がある。
国際評価戦略センター上級研究員リチャードフィッシャーは、
中国が第5世代に追いついてしまったときにアメリカが制空権を維持する
唯一の方法は第6世代戦闘機を開発することだけだと述べ、
政治家にそれを強く要請している。
もちろん、同等の経済力を持つ強豪国より優位な立場を保つために
さらに何千億ドルも出するのは、納税者にとって大きな負担である。
同時に、このような軍拡競争はより生産性の高い民間投資から資源を転用し、
ただでさえ低迷しているアメリカ経済にさらに負担をかけることになるだろう。
こうした理由だけでも、アメリカの納税者が中国のスパイ行為に怒りを覚え、
将来に不安を感じるのは当然だといえよう。
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