最終更新日 2021年1月3日日曜日 12:20:59
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【日中もした戦わば】尖閣諸島は中国の「核心的利益」だと言い始めた時期

かくして、尖閣諸島に対する「中国の領有権を誇示する」巧妙かつ執拗な

侵出行動が始まりました。

例えば、1978年には150隻の漁船を魚釣島へ集結させ、

尖閣諸島が中国領土であると言う「海上デモ」を行っています。

 翌年には、海上保安庁が魚釣島にヘリポートを建設しようとしたところ、

猛然と抗議し、日本は政治的配慮でこれを断念したんです。

 もし、まだ中国の力が弱かったこの時点で、ヘリポートができていたら

現在の尖閣諸島問題が大きく違っていたでしょう。

 この後、中国が行ってきたのが、前記した「法律戦」です。

すなわち中国は、1992年2月、「中華人民共和国領海及び接続水域法」を制定して、

尖閣諸島を中国領土とする規定し、同年9月、同法に基づいて魚釣島と

その付属島嶼の周辺領海に直線基線が適用されると表明したのです。

そして、2010年、島嶼に対する主権行使を強化するための「海島保護法」を制定しました。

 このように、国内法による既成事実をどんどん積み上げてくる中国に対し、

2012年9月10日、民主党(当時)野田政権は、尖閣諸島を民間人から買い上げて

国有にしました。

 当然ながら、中国は激怒しました。

 日本政府のいわゆる「島購入」は完全に不法かつ無効だと言明したのです。

 さらに、中国国務院新聞弁公室は、白書「釣魚島は中国固有の領土」を発表し、

改めて尖閣諸島に対する中国の領有根拠を、次のように主張したのです。

①尖閣諸島の主島である釣魚島をもっとも早く発見命名して利用したのは中国である。

②明朝初期に東南沿岸の倭寇からの防衛のために釣魚島防御地区に組み入れていた。

③釣魚島は台湾の付属島嶼として中国に変換されるべきである。

④米国が釣魚等の島嶼を琉球とともに日本に変化したのは不法である。

 またも、同じ主張の繰り返しです。

 ここまで主張するなら、なぜ、1970年代に入るまで1度たりとも尖閣諸島は

中国領だと主張をしなかったのでしょうか?ここに、中国の主張の最大の弱点と

ご都合主義があります。

 日本人が尖閣問題を強く意識したのは尖閣諸島を政府が購入する以前の

衝撃的な出来事でしょう。

 2010年9月に起こった中国漁船による、いわゆる「巡視船衝突事件」(体当たり)です。

 この時、海上保安庁は、船長を公務執行妨害で逮捕して連行しました。

 しかし、中国側の公共な抗議に怯えて、当時の民主党政権が今船長を釈放してしまいました。

 この事件で明らかになったことが2つあります。

 1つは、中国の漁船と言うのは単なる漁船ではなく、「海上民兵」を乗せた

中国の工作船であると言うことです。

 海上民兵と言うのは、漁民や民間の船会社の船員などのうち、軍事的な訓練を施され、

必要にをして漁船などで軍の支援活動する者たちを言います。

 彼らは業務繁忙期には漁に勤しみ、閑期には国に協力することで政府から

報酬を受け取っているのです。

 簡単に言うと、パートタイム軍人です。

民兵が乗った漁船は、艦艇や海警局の巡視船と連絡をとりながら、

尖閣諸島押し寄せているのです。

 もう一つ明らかになったことが、実に簡単な事実です。

 それは、日本と言う国は、強行に抗議すれば、屈服して要求を飲むと言う実態を

さらけ出したことです。

 尖閣諸島国有化から半年後、2013年4月、中国外務省の副報道局長は、

次のような声明を発表しました。

「釣魚島は中国の領土主権に関する問題であり、当然、中国の“革新的利益“に属する」

これは、中国が尖閣諸島を「革新的利益」と位置づけたはじめての出来事です。

 中国が革新的利益と言うのは、主に台湾やチベット問題についてです。

 つまり、ここは絶対譲らない。

 戦争してでも守り抜くと言うことです。

 ついに、尖閣諸島はそういう地域になってしまったのです。

 おそらく、沖縄もじきに革新利益と言い出すでしょう。 

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【日中もし戦わば】【日中もし戦わば】尖閣諸島の領有権の主張とその根拠とは?

第二大戦後の沖縄、長期間にわたってアメリカに占領されていました。

 日本は、「サンフランシスコ平和条約」によって沖縄の統治権を放棄させられ、

沖縄アメリカの施政権下に置かれていたのです。

ただし、沖縄に対する日本の「潜在主権」アメリカを認めていました。

 要するに、完全にアメリカ領とはなっていなかったのです。

 施政権と言うのは統治する権利のことで、「主権」とは違います。

 アメリカは沖縄をアメリカの主権が及ぶ領土とはしなかったのです。

 1971年6月17日に「沖縄返還協定」が結ばれ、翌年の1972年5月14日に

日本に返還されました。

尖閣諸島はサンフランシスコ平和条約で日本が統治権を放棄させられた地域の

範囲に入るので、沖縄とともに日本に返還されたわけです。

 中国は、1971年12月30日、日本とアメリカが結んだ沖縄返還協定の中で

魚釣島等の島嶼が「返還区域」に組み込まれていることに対して、

突如として抗議声明を発表しました。

沖縄返還は、「中国の主権に対するおおっぴらな侵犯である」と言うのです。

 この抗議の主張の根拠は、次のようなものでした。

 中国は、①早くも明代に、これらの島嶼はすでに中国の海上防衛区域に含まれており、

それは琉球、すなわち今の沖縄に属するものではなくて、

中国台湾の付属諸島であること、②中国と琉球とのこの区域における境界線は、

赤尾嶼(大正島)と久米島との間にあること、および、

③日本政府は日清戦争を通じて、これらの島嶼を搾取し、さらに、

1895年4月、当時の清朝政府に圧力をかけて「台湾とそのすべての付属島嶼」及び

列島の割譲と言う不平等条約「馬関条約」に調印させたのであり、

中国の領土を略奪した日本侵略者の行動を「主権を持っている」ことのと

根拠にしているのは、全く「むき出しの強盗の論理」であると言うのです。

19世紀の清朝の時代までさかのぼって、1949年以前は中国統治していなかった

共産党政権が抗議すると言うのは、中国の歴史認識が、

世界のどんな国とも違うと言うことを表しています。

「馬関条約」とは日清戦争の停戦で結んだ講和条約、日本名「下関条約」のことです。

これにより、台湾は日本領となったわけですが、

この条約がほぼ不平等条約と言うのなら、

これまでの世界史上の講和条約はすべてほぼ不平等条約と言うことになります。

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【日中もし戦わばた】東シナ海に眠る天然資源が問題を複雑にさせている

すでに中国は、日中中間線の中国側での資源の掘削を始めており、

天然ガス採掘用のプラットホームを数多く建設しています。

(7)がその分布図と海上プラットフォームです。

2013年以降、中国の海上プラットフォーム16基が自衛隊により確認され、

その写真が公開されています。

 ここで、中国は現在掘削を行っていますこのプラットホームは、

確かに日中中間線の中国側にありますが、海底と言うのはつながっていますから

日本側にある資源も中国のものになっている可能性があります。

 ただし、天然ガスなどの埋蔵量に関しては、絶対量が少なくて

経済的にペイしないと言う見方も有力です。

 なお、中国は日本が主張する日中中間線を認めず、「沖縄トラフ」

(長さ約1000キロメートル、幅約200キロメートルの細長い海底の窪み)を

日中の境界線と主張しています。

 1982年に採用された「国連海洋法条約」では「基線」

(海岸線、海岸が複雑な場合は突端を直線で結んだ線)から200カイリ

(約370キロメートル)を「EEZ」排他的経済水域として、当該沿岸国は排他的に水中、

海底、地下の天然資源の探査、利用、管理、環境保護を行えることになっています。

 ただし、隣国とEEZが重なる場合は、条約や国際慣習慣習により

双方の合意で境界を決めることになっています。

 日中のEEZが東シナ海で重なります。

 そのため日本政府は、1998年から中国政府と協議を行っていますが議論は平行線のままです。

 中国は「大陸棚延長論」を採用し、東シナ海は沖縄トラフまで大陸棚だから

全部中国の領土だと主張しているのです。

中国が、尖閣諸島が自分のものと言い始めたのは1970年代になってからです。

 1968年、「極東アジア経済委員会) (ECAFE)の「海底資源調査委員会」(COOP)は、

同年10月から11月までに行った東シナ海と公海における鉱物資源調査の結果として、

これらの会議における石油埋蔵の可能性を報告しました。

中国が尖閣諸島の領有権をして主張したのは、こののちのことなのです。

 それまで、中国は前記したように、あの毛沢東でさえ沖縄の日本(本土)復帰を

支持していたのです。

 しかし、中国が突如として方針を変えました。

 以来、この後の第3章で詳述する南シナ海の西沙諸島などの武力による奪取とは異なり、

武力を使わないソフト戦略で、着々と尖閣諸島の領有化を目指してきたのです。

 このソフト戦略が、「三戦」と言われるものです。

 すなわち、「心理戦」、「輿論戦」、「法律戦」です。

 この3戦は、中国の人民解放軍が正式採択している戦術・戦法で、

中国では「政工条例」の略称で呼ばれています。

 東シナ海においては、自衛隊や米軍と戦う前に、日米の世論は誘導あるいは分断して

その戦闘意欲を削ぎ、戦わずして中国に屈服するよう仕向けることを目的として、

まずは三戦で臨むことにしたわけです。 

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【日中もし戦わば】第二章、尖閣諸島領有を目指す中国の執拗な手口

中国は沖縄にも食指を伸ばす世界第3位の国土面積を誇る中国にとって、

尖閣諸島は本当にちっぽけな島嶼群です。

 単なる「小島」、「岩」に過ぎません。

 しかし、その戦略的価値がいかに重大かは、第1章で説明した通りです。

 中国外務省の報道官は、2017年2月13日の記者会見で、日米首脳会談により

尖閣諸島は日米安保の適用範囲とされてされたことについて、

「日本は日米安保の名目で米国に不法な領土主張の裏書きをさせることに

断固として反対する」と述べました。

さらに、日米共同声明は南シナ海にも触れ、関係国に南シナ海における“拠点の軍事化“を

避けるように求めたことについては、、次のように激怒したのです。

「中国は自らの島嶼上で関係施設を建設を建設するのは完全に主権の範囲内であり、

軍事化とは無関係である。

 1部の国家が艦艇や航空機を南シナ海に派遣して武力を見せつけたり、

(関係国間の)離間をそそのかしたりすることこそが、

南シナ海の軍事かの最大の要因だ」全く身勝手な主張としか言いようがありませんが

中国と言う国は、いちどでも自分の領土だと主張してしまえば、

その時点から本当に自分の領土に組み入れた法律を作ってしまうのです。

 地図にもそう書き込みます。

 そして、それを消して変えることはありません。

 その結果、今では沖縄も“中国領“と言うことになっています。

 中国が公式に「沖縄は中国のもの」と主張したのは、2013年5月8日のことです。

 この日、中国共産党機関紙「人民日報」は、「歴史的に未解決の琉球(沖縄)問題を

再び議論できる時が来た」と主張する論文を掲載したのです。

 中国の主張の根拠は、まず、琉球を「中国と500年以上の宗藩関係

(この場合は主従関係と理解するべきか?)を維持してきた島国」と規定し、

それを「日本が武力で奪っていった」と言うところにありました。

つまり、「日本の琉球国併合は国際法に合致しておらず、

琉球の人民・政府や宗主国・清朝政府の同意、国際社会の認可を得ていなかった」と言うのです。

 もしこれが歴史上の事実なら、沖縄はもともと中国のものなのですから、

日本は返還する必要があります。

 しかし、近代史を見れば、中国の主張は根底から成り立たない“言いがかり“だとわかります。

 なぜなら、昔の沖縄(琉球)は独立王朝でしたが、明治12 (1879)年に日本に併合され、

沖縄県が設置されました。

日本は、日清戦争の講和条約である下関条約(1895年4月)に先立つ

明治28 (1895)年1月の閣議決定によって尖閣諸島を沖縄に編入して

その後一貫して沖縄県の1部として扱ってきました。

 日本は、日清戦争の前後を通じて、尖閣諸島を清国の領土であった台湾及び

その付属諸島嶼の1部であったと考えた事はありませんし、したがって下関条約による

割譲の対象とすることもあり得なかったわけです。

 ところが中国は、2013年5月以来現在に至るまで、「日本の主権が沖縄琉球に及ぶと

証明できるいかなる国際条約もない」と主張し、沖縄本島を含む琉球諸島は、

本来、中国のものであると言い続けているのです。

沖縄の領有をめぐっては、1943年1月のカイロ会談で、

中華民国総統の蒋介石がルーズベルト大統領から日本敗戦後に領有を持ちかけられています。

 しかし、蒋介石はこれをこと断り、その後、後悔したと言われています。

また、沖縄が日本に返還される前、沖縄では返還運動が盛んでしたが、

これを中国共産党首席の毛沢東は支持していたのです。

 毛沢東は「沖縄は当然日本に変換されるべきだ」として、

世界中の外交官に通達していたという記録が残っています。

つまり国民党政権もし共産党政権も沖縄は日本のものだと認めていたのです。

 しかし、現在の中国は、過去に何があろうと、そこから都合のいい部分だけを取り出して

主張するのです。

 こうして現在尖閣諸島ばかりか、沖縄本島までは中国の脅威が及んでいます。

 尖閣諸島は、日中間の係争海域において日本が主張する「日中中間線」の日本側にあります。

 そのため、日本政府は次のように、立場を表明しています。

「尖閣諸島は日本固有の領土である事は、歴史的にも国際法上も明らかであり、

現に我が国ははこれを有効に支配しています。

 したがって、尖閣諸島めぐって解決しなければならない問題はそもそも存在しません」

(外務省HP)つまり、尖閣諸島をめぐると領土問題は存在しないと言っているのです。

 にもかかわらず、中国は尖閣諸島の領有を主張するのは、

これまで述べてきた理由以外に、もう一つ大きな理由があります。

 それは、東シナ海の大陸棚に豊富な天然ガス・石油資源があることが

確実視されているからです。 

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【日中もし戦わば】尖閣は中国が太平洋に出ていくための前哨戦

第一列島線は中国のバリケードですから、その周辺に対艦ミサイルなどを装備する

他国の部隊が存在すること、さらに点在する島々の飛行場に航空勢力が存在する事は、

中国にとって絶対許せないことになります。

また、第一列島線の制圧・占領なくしては、中国海軍は外洋に出られないと言うのです。

つまり、アメリカに対抗する覇権は確立できないことになります。

 これは、シーパワーとしての勢力の拡大を目指す中国にとって最大のネックなのです。

 中国沿岸部には、3つの巨大な経済圏があります。

 北京・天津経済圏、上海経済圏、広州・深セン経済圏の3つですが、

この経済圏の安全は、第一列島線の確保によって得られると中国は考えています。

 したがって、中国はこれら3つの地域に合わせて、北海艦隊、東海艦隊、南海艦隊を

持ち、海南島の三亜に潜水艦基地を構えています。

 この4つが中国の海軍力の基盤ですが、これらの海軍戦力が海洋進出するには、

第一列島線の突破が必要です。

 この後、第3章で詳述しますが、すでに中国は、南シナ海では、7つの人工島を作り、

南シナ海の中央東側部に軍事拠点を確保しました。

となれば、次は東シナ海の番です。

 もし中国が尖閣諸島を確保できれば、そこに南シナ海でやったのと同じように飛行場、

埠頭、兵舎などを作って基地化し、太平洋に出ていくための拠点とするのは

間違いありません。

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【日中もし戦わば】「第一列島線」と言う中国のバリケード

現在、日米の間で共通の認識としているのが、中国が軍事的に

「短期高烈度決戦」による局地戦での勝利を追求していると言うことです。

これは、核を除くあらゆる手段で攻撃してくると言うことを意味します。

そして、その最初のターゲットとなるのは、尖閣諸島も含まれる

「第一列島線」と呼ばれるところです。

中国が勝手に、自分たちが防衛ラインとする「線」を2つ地図上に引き、

1つを「第一列島線」、もう一つは「第二列島線」として、

そこから内側を自国の権益と考えているのです。

つまりこのラインは戦力展開の目標ラインであると同時に、

対米貿易ラインでもありますこの第一列島線、第二列島線に関しては、

次の第二章で詳述することにします。

第一列島線は、中国にとって極めて重要な防衛ラインと言う位置づけになります。

これ以外に、絶対に敵を入れてはいけないわけです。

したがって、尖閣諸島はもとより沖縄も支配下に置かなければ、

北京は「中国の安全は保障されていない」と考えたのです。 

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【日中もし戦わば】アメリカが日本に望むシナリオとは?

ここで、トランプ政権のドラゴンスレイヤーの筆頭

ピーター・ナヴァロ国家通商会議議長の著書「米中もし戦わば」を取り上げてみましょう。

トランプ政権が中国に対してどう出るのかの参考にするためです。

ナヴァロは、同書の中で、中国の軍事力増大に対抗し、

日本が取る3つのシナリオを挙げています。

 1つ目は、アメリカの力が衰えてもう日本を守り守ってくれないと判断し、

独自で核武装して自主防衛するシナリオ。

 2つ目は、安全保障の同盟を中国に乗り換えてしまうシナリオ。

 つまり、かつての東アジアの秩序である「冊封体制」に帰すると言うものです。

 そして3つ目が、日米同盟の強化シナリオで、アメリカが今後も同盟の義務を守り、

核の傘を提供し続けると信じて、その中で防衛力を強化していくと言うものです。

もちろん、彼は日本に3番目のシナリオを取ることに望んでいるわけです。

 彼は、トランプ政権に入る前に、「週刊文春」(2016年12月29号)のインタビューに応じて、

「日本が中国の脅威に対してどのような反応を見せるかは、アジアの将来の戦争と平和に

重大な影響与える」と述べています。

はナヴァロの対中認識は、「米中もし戦わば」によれば、次のようなものです。

 □ 2001年、中国にWTO加盟を認めたクリントン大統領の選択は史上最大の過ちである。

 その結果、アメリカの生産拠点は中国に移転し、アメリカは産業と雇用を失い、

貿易赤字を膨らませた。

 逆に中国は経済成長を遂げたが、民主化は進まず、独裁国家の軍事力は増強した。

 □中国は軍事力を、国土及び国際通商上の防衛と言う正当な願望とは別に、

領土、領空、領海、交通路の限りない拡大と言う政党とはとても言えない願望に使おうとしている。

 □中国には領土要求で譲歩したり、破棄したりする可能性は存在しない。

 □中国は領土的野心の実現に「三戦」(3つの戦法)を用いている。

 これは軍事力を伴わない領土獲得法である。

 □三戦とは、「心理戦」(外交圧力、風評、嘘、嫌がらせを駆使して主張を浸透させる)、

「世論線」(国内外のメディアによる世論誘導で中国側のストーリーを受け入れさせる)、

「法律戦」国際秩序のルールを都合の良いように曲げて解釈する。

 偽地図で曖昧な歴史に基づいて領有権を正当化する)である。

□中国は国際も含め国際条約を公然と破る国家である。

 □米ソ冷戦中に核爆弾が1つも落ちなかったのは、米ソが対話に前向きで、

最高レベルではアメリカ大統領とソ連書記長がホットラインでつながっていたからだ。

しかし、中国とアメリカとのあいだには「エスカレーション遮断器」は存在しない。

これが、対中強硬論の根幹です。

ナヴァロは、中国と言う異質な国家、受けられない国家を

これ以上発展させてはいけない、封じ込めろと主張しているのです。

 これに基づいてトランプ政権が戦略的に動くなら、日本としては現行の日米同盟強化、

防衛力強化路線をとっていくしかありません。

 いずれにせよ、日本は尖閣諸島を死守する強固な体制を構築し、

中国のに手出しを躊躇させる状況を作る以外の選択肢はありません。

 つまり、尖閣諸島は私たちにとっては、単なる「岩」では無いのです。

 そして、中国にとっても「岩」ではないのです。 

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【日中もし戦わば】「国家には永遠の友も同盟国もない」

このような記事の論旨を「パラドックス・オブ・コミットメント」と呼びます。

 関与する事は逆効果になる、中国側がアメリカ政府に警告しているわけです。

 中国は、アメリカが同盟国にコミットメントすることを極力阻止したいわけです。

 日本のような同盟国にあまり肩入れしすぎない方がいい。

 さもないと、中国との全面戦争に巻き込まれることになる。

 それはアメリカの国益に決してプラスにならないと言いたいわけです。

このメッセージは、もちろん、オバマ政権の時のものです。

 したがって、政権が変わり、「アメリカ第一主義」と事あるごとに言っている

トランプ大統領が、今後このようなメッセージに接したとき、

それをどう受け止めるかはよく推測の域を出ません。

 日米首脳会談では、「日本とその施政下にあるすべての領土を守る」と述べ、

「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲である」をしたトランプ大統領ですが、

それが彼の本音とは限りません。

 アメリカ人のほとんどが、尖閣諸島の事など知りません。

 それが、島と言うより「人が住まない岩だらけの不毛な小島」

と知らされれば、誰もが「そんなところを守るために米軍を出動させる必要があるのか」

と言うに決まっているでしょう。

 アメリカは、戦争するかしないかは議会が決めます。

あの第一次大戦時、英国のチャーチル首相がルーズベルト大統領にいくら参戦を懇願しても、

大統領は首を縦に振りませんでした。

 議会が認めなかったからです。

 アメリカはナチスドイツと戦端を開いたのは、日本が真珠湾を攻撃したからであり、

しかもその4日後にナチスドイツが仕方なくアメリカに宣戦布告したからです。

 つまり、いくら同盟関係にあるからとは言え、歴史を振り返れば

同盟国の戦争に参戦するかどうか分からないのです。

 さらに言えば、同盟国の戦争に自動的に参戦した例はほとんどありません。

例えば、1982年、南大西洋上のフォークランド諸島の領有をめぐって争われた

英国とアルゼンチンとの戦争では、アルゼンチンが「米州相互防衛条約」に

入っているにもかかわらず、アメリカは集団的自衛権を行使して参戦する事はありませんでした。

このフォークランド戦争は、第二次世界大戦後に、英国とアルゼンチンの正規軍同士が

衝突した最初の本格的な戦争でした。

 大英帝国が絶頂時代の19世紀、英国の宰相を務めたパーマストン卿

ヘンリー・ジョン・テンプルは、次のように言っています。

 「国家には永遠の友も同盟国もない。あるのは永遠の国益だけだ」中国は

台湾、南シナ海のみならず尖閣諸島も「核心的利益」として、領有権に関しては

一歩もひく気配はありません。

 尖閣諸島を自国領とする主張を変える事は永遠にないのです。 

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【日中もし戦わば】ランド研究所の回答「記事は研究所の意見では無い」

ランド研究所からの回答書は、次のようなものでした。

 (1)ランド研究所でも、「フォーリン・ポリシー」シー(以下FP)の記事ついては

承知しているが、この記事は東シナ海でのシナリオの様々な可能性を

FPの記者と短時間議論したものであって、本格的な調査、ゲーム実施上の

多様な行動態様、多数の参加者、公正な審判官等の準備を必要とする正式の

机上演習の成果ではない。

 (2)記者たちと議論した内容はランド研究所の研究ではなく、研究成果でもない上に、

ランド研究所の公式意見を反映したものではない。

 (3)記事の見出しが示すように、この記事は、記者たちがランド研究所の1研究者と

個人的に会った上で交わした多くの可能性の一断面を気にししたものであり、

したがって、ランド研究所の見積もりでも分析でもない。

(4)ランド研究所が時折、政治家のために公式の机上演習を組織する事はあるが、

これはそのようなものではない。

つまり、この回答が言わんとしていることは、「記事はランド研究所のオフィシャルな

研究・分析に基づいたものではない」と言うことです。

 実際のところ、この記事は机上演習の結果を示すものではなく、

2人の記者と研究所の専門家との議論によるものと言う但し書きがあるので、

ランド研究所からの回答はそれを再度、確認したに過ぎませんでした。

 しかし、それならなぜ、このような記事が、権威ある外交専門誌に

掲載されてしまったのでしょうか?日本と違ってアメリカではシンクタンクが

大きな影響力を持っています。

 シンクタンク発のリサーチや論文が、政府の政策決定につながることも珍しくは無いのです。

とそうすると、こういう記事が出ることには、何らかの力学が働いたと考えるのが

自然なのです。

 このことを考えたとき、次の3つの可能性が浮上しました。

 (1)日本が尖閣諸島に自衛隊を投入することに対するオバマ政権からの警告

(2)日本に対してもっと防衛力を強化せよと言うアメリカのメッセージ

(3)中国の対米宣伝工作の影響

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【日中もし戦わば】尖閣はアメリカの国益にならない「取るに足らない岩」か?

たった5日間で中国に敗れる。 

しかも、自衛隊は出動した戦力のほとんどを失い、日本本土はサイバー攻撃になすすべもない。

「これは、シミュレーションとは言えあまりにも杜撰ではないか」と言う声が、

多くの関係者から聞こえてきました。

まず、日本人の活動家が魚釣島に上陸しようとしても、海上保安庁の巡視船が阻止します。

日本政府は「1海里(約1800メートル)以内に近寄らせるな」と命じているからです。

次に、なんとか上陸に成功したと仮定しても、彼らを逮捕するのは、中国側ではなく日本側です。

さらに、仮に中国側に拘束されたとしても、それの対抗策として日本の総理大臣が

いきなり護衛艦や戦闘機に出動を命じるでしょうか?相手が軍を出してない状況で、

こちらが軍を出すと言う事は先制攻撃となり、中国側に反映する大義名分を

与えてしまうからです。

実は、「フォーリン・ポリシー」誌に記事を提供したランド研究所の別のメンバーは、

雑誌発売と同時期に日本を訪れており、

筆者たちと意見交換会を実施していました。

午後の交換会のテーマは、主に台湾貿易についてでしたが、

ランド研究員の感心はもっぱら東シナ海にありました。

そこで、帰国したばかりの代表団の団長のスコット・ハロルド博士を通して、

記事の内容を照会したのです。

私たちの最大の気がかりはこのシミュレーションから導き出された結論でした。

人間が住めないような尖閣のような場所における危機管理の最善の方法は、

何が起きても無視することである」と、記事は提言していたからです。

これは、「アメリカは日米同盟にとらわれず、米中関係の方を重視せよ」と

言ってるのと同じなのです。

記事を仔細に検証すると、「アメリカの日米安保に定められた多くの防衛義務を

履行することが困難である」と言う、「中国の軍事力の状況により、

日本は単独で尖閣のあらゆる事態に対応できなくなった」、

「米国は中国の中距離対艦弾道ミサイルに極めて脆弱である」、

「日米中ともナショナリズムが極めて強いために危機が拡大し、

致命傷になる恐れがある」となどと言うことが述べられ、

結果的に日本を見捨てる結論が導き出されているのでした。

 要するに、尖閣諸島のような取るに足らな岩」はアメリカの国益にならないとの主張です。

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