実を言うと、この日本の不安を鋭く抉りだしたのは、2016年1月15日、
米国の外交専門誌(フォーリン・ポリシー) (2016年1月号)の「日中尖閣戦争」と言う
シミュレーションを記事です。
それによれば、なんとわずか5日間で、日本は中国に敗北すると言うのです。
そして、尖閣諸島は中国にとられてしまうと言う内容に、
日本の防衛関係者は衝撃を受けました。
尖閣諸島は、沖縄の西方410キロメートルの東シナ海に浮かぶ無人の小島群で、
沖縄県石垣市に属します。
最も大きいのが魚釣島で、続いて北小島、南小島、久場島、大正島と言う
4つの島があり、さらに3つの岩礁があって、この全部を尖閣諸島と呼んでいます。
その位置を示しましたが、日本本土(九州)から約850キロメートル、
沖縄本島から410キロメートル離れているのに対して、
中国本土(上海)からは約330キロメートルしか離れていません。
これは、武力紛争になった場合戦力集中競争とロジスティック(兵站)から見ると
日本が相対的に不利と言うことになります。
それでは、日本はどのように敗戦を喫するのでしょうか?
以下、シミュレーション記事の内容ダイジェストします。
(1日目)日本人の右翼活動家が尖閣諸島に上陸して日本国旗を立て、
それをYouTubeの動画に投稿したことから、「日中尖閣戦争」は始まる。
尖閣を自国領としてきた中国は、対抗措置として海警局(沿岸警備隊)の巡視船と
海軍艦艇を派遣し、日本人の活動家全員を逮捕・拘束する。
(2日目)日本は護衛艦や戦闘機を派遣し、一触即発の状況になってしまう。
日本政府は、日米安保の適用を米国に要請し、アメリカ政府は日本海に駆逐艦、
尖閣諸島海域には攻撃型原子力潜水艦を派遣する。
一方、空母は横須賀を出て西太平洋に展開した。
(3日目)ついに、この日、中国の巡視船が日本の漁船に衝突し沈没させたことをきっかけに、
日中は戦争状態に突入する。
海上保安庁は放水等で対抗したが、中国のフリゲート艦が航空自衛隊機に発砲すると、
日本側も応戦する。
これに中国が航空機と対艦ミサイルで反撃し、自衛隊の護衛艦が二隻撃沈され、
500人が戦死する。
この時点で、日中間の外交チャンネルが機能不全となり、対話の道は閉ざされる。
日本はアメリカに一層の支援を要請するが、アメリカ政府は対中全面戦争を恐れ、
米兵の損耗を避けるために潜水艦による魚雷攻撃を選択し中国側に警告する。
その結果、中国の駆逐艦2隻が撃沈し数百人が戦死する。
(4日目)米軍の攻撃を受けた中国は、本格的な米中戦争を回避しながら、
敵に、一定の打撃を与える戦略を決定。
サイバー攻撃で日本の証券取引や送電のシステムを破壊し、
さらに米本土のカリフォルニアの送電システムを破壊し、
サンフランシスコとロサンゼルスが、大停電になる。
この間、最前線では、中国のミサイル攻撃で自衛隊が深刻な被害を受ける。
中国のサイバー攻撃は、ナスダックなど証券取引所の自動取引システムを操作することで、
莫大な被害を与えることに成功する。
さらに、中国が米国債の売却をほのめかし、急激なドル安へと追い込む。
これで金融パニックに陥った米国は、日本との関わり合いを軽視する方向へ傾く。
(5日目)中国は尖閣諸島周辺の海上自衛隊の艦船に対して弾道ミサイル中心の攻撃を継続する。
そのため、24時間で会場自衛隊は戦力の20%を喪失してしまう。
同時に中国は日本経済へのサイバー攻撃を続け、送電システムを破壊し、
ジェット燃料精製所を爆発する。
たまりかねた日本政府はアメリカに支援を嘆願する。
その内容は、中国本土の対艦ミサイル基地など策源地(敵基地)の攻撃、
西太平洋に退避中の米空母打撃群の参戦、中国海軍艦艇への攻撃強化などだが、
アメリカ政府はいずれも拒否する。
そのかわり、潜水艦と航空機を増加し、撤退を支援する。
つまり、アメリカ米中戦争を回避することを優先し、日本に尖閣諸島を放棄させる。
これにより、海上自衛隊は撤退し中国は尖閣諸島を占領して、五日戦争は終結する。
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