テオの例でわかるように、数ある金融商品の中から、手持ち資産や収入、リスク選好、
目標リターンなどによって、最適な商品(の組み合わせ)を提案するタイプのサービスは、
すべてフィンテックによって自動化される可能性があります。
例えば、生命保険や自動車保険、火災保険等の保険商品については、
これまで保険代理店や銀行の窓口に行って相談するのが一般的だったかもしれません。
でも、ウェブサイトやスマホのアプリで料金やサービスを比較すれば一目瞭然で、
その場で契約までできればユーザーは大助かりです。
窓口販売の場合、「この商品がお勧めです」と言って出てくるのは、
販売手数料が最も高い商品だったりするので、必ずしもユーザー側に立った提案とは
言えません。
アルゴリズムで自動検出された上なら、そうした不透明感は排除されるので、
かえって信頼できると言う人も多いのではないでしょうか。
ちょっとした違いを見つけて、自分に合ったものを探すサービスには、
様々なバリエーションが考えられます。
例えば、日本からシンガポールに10万円送金したいと言う時に、銀行や送金先によって
異なる送金手数料を一覧にして、最も安いところを選んで送金できるサービスがあれば、
いちいち各銀行のウェブサイトに行って調べる手間省けるので、すごく便利です。
銀行だけではなく、ビットコインのその時点でのレートや手数料も比較して、
1番有利な条件で送金できるようになれば、海外送金に関するプラットフォームとなる
可能性もあるでしょう。
あるいは、住宅ローンの借り換え企画も、低金利時代だからこそニーズがあるはずです。
自分で各社のウェブサイトに行って調べるのは大変なので、
全部自動で引っ張ってきてくれて、自分のローン残高や固定金利、変動金利の別などの
質問に答えていくと、自分に合った住宅ローンを提案してくれる。
その場で借り換え契約までできれば、ユーザも嬉しいし、
サービス提供者も仲介手数料が手に入ります。
要するに「価格コム」の金融版のようなサービスがあれば、
わざわざ休日に時間をとって相談に行く手間を省けるから便利だろうと言うことです。
金融と言うのは本来、プロは知っているのに一般のユーザは知らないと言う
「情報の非対称性」で儲けていたビジネスですが、
ユーザーフレンドリーなインターフェイスで有用な情報に誰でもアクセスできるように
なれば、そこで大儲けはできなくなります。
「金融サービスの民主化」が、自動だからこそ低価格で実現できるわけです。