最終更新日 2021年1月13日水曜日 10:42:22
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【米中もし戦わば】米海軍を「第二列島線」の外に追いやりたい中国

第一章である程度説明しましたが「第一列島線」、「第二列島線」と言うのも、

中国が地図上に勝手に引いた線です。

これを今日、中国は自国の安全保障上の防衛ラインとし他国勢力の排除を目指しています。

 このラインは、もともとは1982年に、当時の最高指導者である鄧小平の意向を受けて、

人民解放軍海軍司令官(中央軍事委員会常務副主席「の劉華清が作成したものです。

しかし、当時は単なるイメージ上の線にすぎませんでした。

なぜなら、当時はまだ「冷戦」の真っ最中であり、人民解放軍は陸軍を中心として、

ソ連を仮想敵国していたからです。

 しかし、1990年代になって本格的な本格的な海軍を建造・編成することになり、

その中で打ち出された街の発展計画によって、第一列島線と第二列島線の概念が

改めて浮上したのです。

次の(12)がその概念です。

 この図には、第一列島線内に「領域拒否ゾーン」が、第二列島線内に「接近阻止ゾーン」

が書き加えてますがどのこの海域は、現在の中国の海洋防衛戦略の基盤となっています。

 序章で少し触れたように、中国は第一列島線と第二列島線を基準にして、

「接近阻止・領域拒否」(A2/AD)と言う防衛戦略を持っているのですが、

これについては後に詳述します。

 すでに、中国海・空軍、沖縄本島と宮古島間を通過して西太平洋へ進出し

軍事訓練を行うのが常態化しており、将来的には日本から小笠原諸島、

グアムを結んだ第二列島線まで出て行く計画になっています。

 そして、最終的には、米海軍勢力を第二列島線の外に追いやるのが目標です。

 話を列島線が作られた当時に戻すと、この時、劉華清司令官は、次のように

時期を区切って、海軍の建設と拡大を構想していました。

 (再建期) 1982 ~2000年:中国沿岸海域の完全な防備体制を整える。

 (躍進前期) 2000 ~ 2010年:第一列島線内部を支配し、領域拒否体制を確立する。

 (躍進後期) 2010 ~2020年:第二列島線内部を支配し、接近阻止態勢を確立する。

(完成期) 2020~2040年:米海軍による太平洋とインド洋における支配に終止符を打ち、

西太平洋以西の海域から米軍を排除する。

 この計画表のうち、(躍進前期)までは達成つつつつあると言っていいでしょう。

 もちろん、海上優生(制海権)に関しては、米海軍、海上自衛隊から完全に奪えてはおりません。

ただ、(躍進後期)目標を達成するため、ウクライナから購入した旧ソ連の空母

(ヴァリャーグ)を改造して(遼寧)として就航させています。

この「遼寧」は、2016年12月23日、母港・青島をミサイル駆逐艦三隻、

フリゲート艦二隻を伴って出港すると、東シナ海を南下し、

25日に沖縄本島と宮古島の間に位置する宮古海峡通過して初めて西太平洋に進出しました。

その後、台湾の東側を通過し、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過して

南シナ海に入りました。

 つまり、第一列島線の外に出たのです。

 こうした行動を、「人民日報」や国営テレビ「CC TV」は逐一伝えて

「次に狙うのは第二列島線、東太平洋だ!」と報道したのです。 

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【日中もし戦わば】歴史的にも法的にも根拠のない「九段戦」

中国の力による南シナ海への拡張は、1974年1月のベトナムとの

「西沙諸島(パラセル諸島)海戦」が端緒といえます。

ベトナム戦争が終結してアメリカが去ったために起こった「力の空白」をついて、

中国は西沙諸島製紙ャ全体を奪取したのです。

さらに、1988年3月、再びベトナムとの間に起こった

「南沙諸島(スプラトリー諸島)海戦」に勝利した中国は、

ベトナムが実効支配していたヒューズ礁やジョンソン南礁の岩礁を奪い取りました。

その後、1992年2月には、海洋主権に関する国内法として「領海及び接続水域法」を

制定し領海を「中華人民共和国陸地領土の基線から12海里」と定めた上、

陸地領土については、「中華人民共和国の大陸及びその沿海諸島を含み、

台湾及び釣魚島(尖閣諸島)を含む付属各島、膨湖列島、東沙群島、

西沙群島、中沙群島、南沙群島および中華人民共和国に所属する一切の島嶼を包含する」

と、勝手に規定したのです。

次の第4章で詳述しますが、以来、今日まで、中国は南シナ海の南沙群島の岩礁を

埋め立てでは、人工島を建設してきました。

2009年5月、中国の行動に腹をすえたマレーシアとベトナムは、

国連の「大陸棚限界委員会」(CL CS)に大陸棚外縁の延長申請しました。

これに対して中国は、「九段戦地図」を論拠として、強く抗議しました。

 これは、中国が南シナ海の領有権を国際的に主張するために

「九段戦地図」を使った初めてのこととされています。

中国は、このときの抗議の口上書で、九段線内の海域における岩礁とその周辺海域に対して

「議論の余地のない主権」を主張しました。

そして、「長い歴史の過程で形成されてきた南シナ海における中国の主権と

関連する諸権利は、歴代の中国政府に受け継がれ、国内法によって何度も再確認され、

国連海洋法条約を含む国際法規によって護られてきた」と述べたのです。

しかし、そのような長い歴史が存在せず、国連海洋法条約を含む国際法規によって

護られてきたと言う事実もありません。

九段線と言うのは、中国が勝手に引いた線に過ぎないのです。

中国は、各線の座標軸等九段戦の詳細については一切説明していません。

九段線に限らず、中国と言うのは、地図の上に勝手に線を引いて、

それをあらゆる手段を使って正当化していくと言う国です。 

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【日中もし戦わば】公式地図に示された中国の国家意思

2014年6月24日、中国政府は新たな領土地図を公表しました。

以来、この地図が中国の主権が及ぶ範囲(=領土)を示すものとして、

中国では公式に使われています(11)の地図がそれです。

 この公式地図が、従来のものと大きく違うのは、次の3点です。

 (1)従来の横型地図から縦型地図に変更されたこと

(2)南シナ海を「九段線」で囲い込んだこと

(3)台湾の東に「10段目線」を加えたこと

なぜ、中国はこんなことをしたのでしょうか?

(1)に関しては、海洋大国をアピールしたかったからです。

 従来は、大陸本土を重視した横型だったものを、

海洋部は大陸本土と同縮尺で表示した縦型にしたのですから、その意図は明白です。

 そのため、(2)の九段線の強調となりました。

 九段線と言うのは、その形から「牛舌線」とも呼ばれ、地図で明らかなように、

南シナ海のほぼ全域を占めています。

 中国は、ここを「自分の海」だと改めて強調したのです。

 そして(3)の台湾の東に書いた10段目の先ですが、

これも同じ意図で台湾が中国領であることを改めて示したわけです。

 さて、この3点のうち、最も重要なのが、九段線です。

 なぜなら、この九段線と言うのは中国の一方的な主張に過ぎず、

国際法上認められたものでは無いからです。

 九段線は、文字通り、点線の数が9つあるのでそう呼ばれていて、

実は台湾の国民党政権が1947年に作成した地図で最初に示したものです。

 ただ、この地図には「11段線」として書かれていました。

それが、1953年に共産党政権が出した地図で、九段線になりました。

 中国は当時の北ベトナムとの関係に配慮し、トンキン湾に書かれた二本の線を消したのです。

 以後、中国は、「九段線」の主張を裏付ける国内法の整備を進め、

1958年9月に発表した「領海宣言」で、南シナ海の大部分を自国の領海と

宣言したのです。

 しかし、当時の中国はまだ貧しい途上国で、海軍力もあまり強くありませんでした。

 ですから、中国の主張など、国際社会は気にもとめなかったのです。

 しかし、現在は違います。

 現在の中国は、この九段線の内側を力によって、本当に内海化しようとしているからです。 

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第3章中国-「海洋大国」「世界帝国」の野望【「強中国夢」、「失地回復主義」、「戦略辺疆論」】

本書では、中国のどのような国家目標を掲げ、

覇権的拡張戦略を進めているのかについて、掘り下げて説明していきます。

現在の中国の国家目標は、「強中国夢」(強い中国になると言う夢)です。

序章で説明したように「中華民族の偉大なる復興」を果たすことです。

その構成要素となるのが「漢民族中心の国家建設」と「富強(富国強兵)大国の建設」で、

これらは「強国の夢」「強軍の夢」と呼ばれ、

強大な海洋国家(シーパワー)、そしてアメリカを超える世界帝国への建設へとつながっています。

したがって、世界最大のシーパワーであり、現在の世界派遣国であるアメリカとは

宿命的にぶつかります。

 そのため、オバマ前大統領は対応に苦慮し、中国に対して明確なスタンスを示さないまま

任期を終えました。

 そして、今トランプ大統領は、「偉大なるアメリカの復活

「make America great again」を考えています。

 と言う事は、習近平主席の「強中国夢」は、トランプ大統領の政策と

激しくぶつかることになります。

 よく「国家100年の計」と言いますが、日本にはそれがないと誰もが言うでしょう。

 しかし、中国にはそれがあるのです「強中国夢」は、100年計画です。

つまり、中華人民共和国が建設された1949年から100年後の2049年が最終目標(ゴール)

となっているのです。

 その前に、節目となる中国共産党創設100周年の2021年がやってきます。

 この年を「中間目標」として、ここでアメリカに経済力で追いつき、

2049年にアメリカを超える世界帝国になるのが最終目標です。

中国には、「漢民族が過去に支配した地域はすべて中国の領土あるいは版図である」と

言う「失地回復主義」があります。

 彼らが回復しようと考えている地域は北は樺太や沿海州、西はネパールやブータン、

西北大地(現在のカザフスタン、キルギスタン、タジキスタンの一部)、

南はタイやビルマ(ミャンマー)、カンボジアといった東南アジアの国々まで

及んでいます。

 そして東は朝鮮半島、台湾はもとより、琉球諸島(沖縄)も、

中国は「帝国主義によって奪われた領土」としているのです。

さらに中国は、「総合国力の増減によって国境が可動する」と言う

「戦略的辺疆(国境)論」を唱えています。

 国境と言うのは文字通り国の境目ですが、辺彊は境界に接した僻地を意味します。

 中央から遠く離れた僻地を支配下に置くことで、中国は外敵から中央を守ってきました。

 これは、中華王朝の時代から続いてきた伝統的な考え方でもあります。

 ここまでは問題はありません。

しかし問題は、中国側が「国家としての総合力が高ければ、

辺彊をどこまでも拡げても良い」と考えていることです。

現在の中国は、国力が伸張し続けていますそのため、中国は戦略的辺彊論の考えに基づき、

これまでの国境線を越えて他国を支配下、影響下に置こうとしているのです。

 中国が東シナ海や南シナ海に進出し、度が過ぎた行為をしても罪の意識を感じていないのは、

こうした伝統的な考え方が根底にあるからと言うほかありません。

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【日中もし戦わば】無人島・魚釣り島を一刻も早く有人島にせよ!

海上保安庁と自衛隊が協力すれば、何とか不測の事態には対処できるでしょうが、

物理的にはまだまだ不十分です。

 特に、わが国の場合は、防衛費が極端に少ないのです。

 トランプ政権になって、米国は「軍再建」を目標に、

2018会計年度に国防費を約10%、金額にして540億ドル(約6兆900億円)増額する予定です。

 これは、日本の1年間の防衛費(平成28年度は約4兆8607億円、

GDPの約1%)を大幅に上回る額になります。

 また、米国が、自国の軍事力強化を背景にNATO加盟国の「応分の負担」として

求めたGDPの2%以上の国防支出について、NATO加盟国はこれを受けることで一致しました。

対中国戦略上でわが国と防衛協力を強化しているオーストラリアは、

国防白書で2020 ~21年にはGDPの2%の水準に、2025 ~26年では、

現在の2倍近くまで国防費を増額することを明らかにしています。

 また、インドは、すでにGDP比2.33% (2015年)の国防費を出しているのです。

 米国が、わが国に対して「応分の負担」を求めてくるのは必定であり、

自衛隊創設以来の課題である組織、人員規模及び装備を自助自立の

防衛体制のレベルにまで高めるため、列国なみに、

防衛費のGDP 2%の達成を追求するのは当然の使命になっています。

 そして、さらに大事なのは、一刻も早く、尖閣諸島、特に最大の島である

魚釣島を有人島にしてしまうことです。

 これまでの中国の行動を見ていると、南シナ海は格好の例ですが、

住民が存在している島には軍事的行動をとっていません。

したがって、魚釣島に灯台、ヘリポート、港湾施設などを建設・維持するための

人間を送り込んでしまうべきなのです。

そうして、現在以上の実効支配をすべきです。

この場合、中国は猛烈な抗議と何らかの実力行使に出るかもしれません。

 しかし、武力行使は決してしないでしょう。

 なぜなら、中国相手が弱い、勝てると判断した時以外は、武力行使しないからです。

 永遠に「3戦」を続けるだけです。

中国は、相手が弱いと見た場合だけ取りに行きます。

 チベット、ウイグル、南シナ海がそうです。

 したがって、中国と軍事的な衝突を回避するためには一刻も早く魚釣島を有人島にすべきです。

 もちろん、これは日米同盟の下でアメリカと協議した上で行うことですが、

アメリカが反対する理由はありません。 

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【日中もし戦わば】参考になるのは韓国の「統合防衛法」

領域警備法が制定されるまでの間、日本がしなければならない事は、次の3つです。

(1)海上保安庁の組織規模や装備を強化し、準軍事組織に制度変更する。

ただし、海上保安庁は3次元の対応能力は保有していないので結局、

空域は航空自衛隊に、海中は海上自衛隊に頼ることになる。

 (2)自衛隊に領域(沿岸)警備の任務を付与することである。

 この際、警察機能は、あくまで海上保安庁が担任し、両者が密接に連携して活動する。

また、自衛隊の任務遂行における武器の使用等については、

あらかじめ「武器使用規定」あるいは「交戦規定」を決めておいて

政府の対処方針を現場に徹底する。

 (3)前期2つのオプション、すなわち海上保安庁の強化と自衛隊に対する

領域(沿岸)警備任務の付与を同時に行う。

この際、海上保安庁と海上自衛隊の役割分担を明確にする。

 自衛隊法は、防衛出動・治安出動時に、海上保安庁の全部または1部を

防衛大臣の統制下に入れることができる(第80条)ことになっていますが、

海上保安庁法には、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が

軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものと

これを解釈してはならない」(第25条)の規定があり、

自衛隊法と明らかに矛盾しています。

 そこで、早急に両法を整合させ連携強化体制の実効性を高めなければいけません。

 そうして、自衛隊と海上保安庁の合同訓練を行うべきでしょう。

 こう考えていくと、参考になるのは、お隣の韓国が1996年、

北朝鮮の潜水艦によるゲリラ攻撃にあった後に制定した「統合防衛法」です。

 この統合防衛法は、国家が保有する防衛・警察機能等を統合し、

指揮体制を一元化することを規定したものです。 

すなわち、①陸海空軍、②警察及び海洋警察、③ (軍と警察、海洋警察を除く)国家機関

及び地方自治体、④郷土予備軍⑤民防衛隊、⑥統合防衛協議会を置いている職場の

6国防関連処組織を全て動員し、外敵の長髪、侵入などに一体的に対処すると言うものです。 

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【日中もし戦わば】「領域警備法」がないと言う致命的欠陥

このように自衛隊配備を強化していますが、現状では、尖閣諸島を守り切れない

と言う「致命的な欠陥」を、日本は抱えています。

 それは例えば日本の領海に侵入してきた外国の武装勢力に対して、

武力で対抗する法的整備ができていないと言う点です。

 自衛隊と言うれっきとした軍事組織があるんではないかと言う人がいますが、

自衛隊が出動するための法的根拠は無いのですから、自衛隊は使用できないのです。

 現在、尖閣海域では挑発の最前線いるのは、海上保安庁ですが、

これは警察と同じですから、中国公船に対して「日本の領域に入るな」、

「日本の領域から出て行け」と言う警告しかできないのです。

 よく「グレーゾーン事態」と言うことが言われますが、

これは海上保安庁や警察では対処できない緊急事態なのに、

自衛隊の防衛出動も発令されない状況を指します。

中国は、いきなり人民解放軍を投入してはきません。

海上民兵が乗った漁船、海警局の公船で準軍事的作戦を展開してきます。

 これはアメリカでは「戦争に至らない準軍事作戦」あるいは「準軍事手段を活用した

戦争に至らない作戦」(POSOW)と呼んでいます。

 孫子の兵法にあるように、中国は、「戦わずして勝つ」の伝統をもっている国です。

 こういう国に対して、日本の防衛体制は不備としか言いようがないのです。

 ある日突然、海上民兵が乗った武装漁船が魚釣島に押し寄せ上陸を開始するかもしれません。

 その時、相手が海上にいて何者かわからない状況では、

まずは海上保安庁が対処するしかありませんが、

装備が貧弱で武器使用の権限もないので、何もできません。

 と言うより、もし中国人が泳いで上陸しようとしたら、

人道法上上陸させざるをえなくなります。

 上陸後は、「入管難民法」(1951年)に基づき不法入国者として

取り調べるということになりますが、海上保安官の指図が拒否された場合、

対応は極めて困難です。

 自衛隊にしても、現在ある「海上における警備行動」(自衛隊法第82条)だけでは

対処不能です。

また、「武力攻撃事態対処法」(2003年)が適用される武力攻撃予測事態と

みなすことができるかどうかも分かりませんとなると、

もし突如攻撃された時は、海上保安庁の巡視船は全滅してしまうかもしれません。

 こうした事態に対処するために、世界各国が準軍事的組織としての

沿岸警備隊がありますが、日本にはありません。

そこで、現在、政党間で審議されてるのが「領域警備法」と言う法案です。

 与野党では法案の内容をめぐって温度差がありますが、

要は、海上保安庁の任務遂行にあたって必要な「武力行使」の権限を与えることであり、

その武力は相手を「撃沈」までできる能力でなければならないと言うことです。

 しかし、この法案がいつできるか全く分かりません。 

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【日中もし戦わば】南西諸島の防衛力強化にようやく乗り出したが

では、こうした中国の巧妙かつ執拗な侵出行動に対して、

日本は今後、どうしていけば良いのでしょうか?

ここで1番大事な事は、私たち国民に尖閣諸島守る意思があるかないかです。

それが明確なら、政府がやる事は、南西諸島地域の軍備の強化以外にありません。

 現在、はっきりしている事は、尖閣水域での海上保安庁の監視行動は

もはや限界を超えていると言うことです。

 さらに、中国の軍事的挑発を抑止できる自衛隊の配備も、

陸海空とも全く足りていないと言うことです。

つまり、力のアンバランスが生じているわけで、この状態が最も危険と言うしかありません。

 力には力でしか対抗する以外にないのですから、平和を維持するなら、

中国が示威行動を繰り返すように、こちらも「あらゆる手段で尖閣を守る」決意を

明確に示していくほかありません。

 そうしないと、第1章で述べたような「日中尖閣戦争」がいつ現実化しても

おかしくないのです。

尖閣諸島に最も近い島は、尖閣諸島まで約150キロメートルに位置する

日本最西端の島・与那国島です。

 ここの人口は、2015年の時点でわずか1489人に過ぎないため、

2カ所の駐在所にいる2人の警官以外、島を守る人間がいませんでした。

 対中国の最前線の島だと言うのに、他の国ならあるはずの軍の駐留もなければ、

国境警備隊すらいないかったのです。

 そのため、民主党政権時代、陸上自衛隊は島への部隊配置申請したのですが認められませんでした。

 しかし、安倍政権になって認められ、2016年に陸上自衛隊・沿岸監視隊の配備が

やっと実現しました。

 島内の2箇所に、レーダーサイトや貯蔵庫などの諸施設、隊舎や家族宿舎も完成し、

現在、自衛隊約160人と家族約90人が暮らすようになっています。

 防衛省ではさらに、南西諸島防衛力を高めるため2018年度末までに、

鹿児島県・奄美大島に警備部隊とミサイル部隊を約550人規模で、

沖縄県・宮古島に700~ 800人規模でそれぞれ配備することになっています。

2019年度以降も、石垣島に500 ~600人規模の警備部隊とミサイル部隊を

配備する計画も進んでいます。

 また、尖閣諸島が中国に占拠された場合を想定して、陸上自衛隊は、

2017年2月25日~3月10日、米海兵隊と「離島奪還」の合同訓練を

カリフォルニア州で実施しましたし、

2017年度末には「水陸機動団」を新編する予定です。

航空自衛隊も、警戒体制を強化しています。

これまでのスクランブル発進は「F15」戦闘機二機で行っていたので

2017年1月から4機態勢に変更したのです。

 さらに、上空での戦闘警戒機(C AP)の滞空時間を大幅に延長し、

「EC2」早期警戒機などをできるだけ多く飛行させ、F 15バックアップするようになりました。

しかし、まだまだ日本独自で防衛できる体制も、能力も整っていません。

 米軍の支援がなければ、地域の海上・航空優勢を維持することは困難なのです。 

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【日中もし戦わば】中国による東シナ海防空識別圏の設定

中国が設置した防空識別圏は、当然ながら尖閣諸島の上空までカバーしています。

 これを中国は「東海防空識別区」と呼び、設置と合わせて

「東海防空識別区航空機識別規則」と言う独自のルールを公告しました。

 各国にこれに従えと言うのです。

さらに、この「東海防空識別区」が異常なのは次の(10)の地図にあるように、

韓国、日本、台湾のすべての防空識別圏と重複していることです。

 「ADIZ」は、各国が安全保障の観点から、「領空」(領土もしくは内水上の空域)とは

別にその外側に隣接して設定した区域のことです。

 ADIZでは常時防空監視が行われ、各国は飛行計画(経路、目的地など)を提出せず

ここに侵入する航空機には、識別と証明を求めることになっています。

 その際、領空侵犯の危険があると認めた航空機に対しては、

警告の上、軍事的予防措置等を行使することもあり得るのです。

 日本は、1958年に国籍不明機に対する対領空侵犯対処を米軍から引き継いで導入しています。

そして、1969年に「防空識別圏における飛行要領に関する訓令」(防衛省訓令第36号)の

第2条に基づいて、その範囲を確定しています。

 この日本のADIZに外国航空機が侵入した場合、

まず当該航空機に対して飛行計画の提出を要請します。

 これに応じない国籍不明機があれば、スクランブル発進した自衛隊が

目標を識別してその動静を監視します。

 スクランブルの任務は単純で、目標が進路を変更して領空侵犯する恐れがないことが

確認されれば、発進基地へ戻るわけです。

 だから、簡単に言えば、日本のADIZへの侵入機は、ADIZ内であっても

公海やEEZ上空における飛行の自由が保障されています。

とは言え、2014年度における中国に対するスクランブルの回数は、

ロシア軍用機に対する437回を上回る464回を数えています。

 中国は、日本のADIZへ侵入することによって、航空自衛隊の能力を探るとともに、

示威行動を繰り返しているのです。

 こうした中、設定された中国のADIZは、前期したように他国が設定した

ADIZと異なっています。

一言で言うと、中国のADIZは領空と同じような意味合いがあり、

公海やEEZの上空における飛行の自由に反しているのです。

もし、それが適合された場合には国際法上の不法行為となり得るものですでは、

中国はこのようなADIZを設定したのでしょうか?

それは、間違いなく、尖閣諸島の領空における航空機の飛行を阻止することで、

尖閣諸島が自国領土であるとの主張を正当化しようと狙ったものです。

しかし、日本のADIZと重複するため、双方の出方次第では、軍用機同士の不足

の事態が発生してもおかしくありません。

また、日本が尖閣諸島の久場島と大正島を射爆場とし在日米軍に貸与していることから、

中国軍機と米軍機の不足事態が発生する可能性も考えられます。

 実際、日本と中国のADIZが重複する区域において、

すでに自衛隊機と中国軍用機が異常接近する事態が2回も発生しています。

 2014年5月24日と6月12日、自衛隊の「OP-3C」及び航空自衛隊の「YS-11EB」が、

中国軍の戦闘機「SU-27」2機により異常接近を受けています。

 また、米軍機に対する中国軍機の異常接近事案も何度か発生しています。 

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【日中もし戦わば】公船による侵入とプラットホームの軍事化

そして、今や、この地域における中国の行動がエスカレートするばかりになっています。

例えば、1017年3月2日、中国の軍用機13機が、沖縄本島と宮古島の間の上空を通過し、

自衛隊機がスクランブル(緊急発進)することになりました。

これまで、自衛隊機は何度もスクランブルでしてきましたが、

この時確認された13機は、スクランブルの対象としては過去最多でした。

 もちろん、それより海の方が圧倒的に圧力をかけられています。

 後述しますが、特に2012年以降は、尖閣周辺海域において、

中国公船の接続水域内入域や領海侵入隻数が爆発的に増えています。

 上の(8)は、中国の公船が尖閣諸島周辺の接続水域や領海に

どれほど侵入した日をカウントしたグラフです。

 これを見ると、日本が尖閣諸島を国有化した2012年の夏ごろから急増し、

それが今日では常態化しているのがよくわかりますわかります。

しかも、中国のこうした行動は徐々にエスカレートしています。

最初は工作漁船、次に海警局の巡視船、そしてついに中国海軍の艦艇までが、

尖閣海域に押し寄せるようになったのです。

例えば、中国海軍の官邸は、2016年6月9日に尖閣周辺の接続水域に侵入し、

その後の6月15日には、口永良部島周辺の日本の領海に情報収集艦一隻が

侵入したのです。

これは12年ぶり、戦後2度目のことでしたした。

 さらに、8月5日には、200 ~300隻の中国漁船団が押し寄せ、

それに伴って公船の一隻が尖閣の領海侵入を繰り返しました。

 上の写真(9)は、2016年8月6日に上空から撮影した中国の漁船団です。

2016年の中国公船による領海侵入はのべ121隻、接続水域内入域は

752隻にも及びました。

 トランプ政権になってもこの状況は変わりません。

 特に2017年2月の日米首脳会談後は、中国公船の動きが活発化しています。

 そのため、石垣島の漁民たちは「尖閣の海には怖くてもういけない」と音を上げるようになりました。

 中国の巡視船は、日本漁船を追いかけ回すのです。

 海上保安庁は、現在、12隻の巡視船で構成する「尖閣専従部隊」を作り、

常時、4隻以上海域の警戒に当たらせています。

 これに対して中華の巡視船も常時4隻体制で、日本側を挑発しています。

しかも、中国海警局は巡視船を増強していて、すでに1000トン級以上の巡視船の数は

日中間で2倍に開いたとされています。

 中国は、海洋プラットホームによる石油・ガスの採掘も活発化させています。

 2003年に、中国石油公司(CNO OC)と中国石油工業集団公司(シノペック)が、

ロイヤルダッチシェル及びユノカルと探鉱開発契約を締結し日中中間線付近で

「白樺(春暁)」ガス田などの探鉱開発に着手しました。

しかし、これらのガス田の1部が未確定の日中中間線から日本側に

はみ出しているのではないかとの懸念から、日本政府は開発中止を要請したのです。

 その結果、共同開発に当たった外国資本2社は、契約継続を中止しました。

 しかし、中国は要請を無視して開発を続け現在に至っています。

 ただし、現在まで海上プラットホームからガス田の放出炎は確認されていますが、

石油が噴出したと言う確かな情報はありません。

 しかし、問題はガスや石油の採掘にあるのではありません。

 中国はこれらのプラットフォームの一部にヘリポートを併設し、

さらにレーダーシステムや水中音波探知機などを設置しているとみられるからです。

 つまり、これは軍事目的使用であり、東シナ海の力による支配の布石となるものなのです。

 こうした上で、2013年11月、中国が突如、東シナ海の広い範囲に、

戦闘機によるスクランブルの基準となる「防空識別圏」(ADI Z)を設定したのです。 

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